相談内容
シンガポールのある企業の担当者様から、日本における支店を設置したいというご相談をいただきました。
外国会社の支店登記について
外国会社は、日本における支店の代表者などを決めて法務局で登記することで、営業活動を行うことができるようになります。なお、法律上は固有の法人格はなく、本国シンガポールの企業の一部分として取り扱われるため、支店の活動により発生する債権・債務は外国会社本体に帰属することになります。
当事務所の対応
外国会社の日本における支店設置は、日本法人の支店設置の場合に比べ、はるかに確認事項が多く、手続きは煩雑になります。言葉の問題はもちろん、本国法の規定や税務上の問題、さらに国交の問題などで手続きや登記の内容も異なってきます。法務・税務の両面からどういった手法により手続きを進めるかを検討し、法務局をはじめとする関係各所とも打ち合わせを重ね、十分な準備期間を設けて取り組みました。お問い合わせをいただいてから、トータルで1ヶ月ほどの時間を要しましたが、無事に登記は完了。依頼主である企業様は日本において営業活動をスタートされました。
相談内容
お父様が預金を遺して亡くなったため、相続手続きを進めたいが、親族間で長年にわたって音信不通になっている人がいて手続きが進まないということでご相談をいただきました。
不在者財産管理人制度について
従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合、家庭裁判所は申立てにより不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任などの処分を行うことができます。
不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割・不動産の売却などを行うことができます。
当事務所の対応
相続人のなかに行方不明者がいる場合は、「不在者財産管理制度」を利用することになります。当事務所はさっそく不在者財産管理制度の申立てを行い、遺産分割協議を進める方向で動きました。まずは戸籍の収集からスタートしたのですが、収集を進めるなかで行方不明になっていた相続人が見つかり、連絡を取ることに成功。そこで、相続人間の話し合い(遺産分割協議)の場をセッティングして、無事に相続手続きを完了することができました。
相談内容
ご主人を亡くされた奥様からご相談をいただきました。亡くなる少し前に、ご主人は貸金請求で訴えられていました。ご主人は「身に覚えがない」とおっしゃっていたそうですが、判決が出る前に死亡。ご主人にはそれなりの遺産がありましたが、奥様は「もし裁判で負けてしまったら負債のほうが多くなってしまう……」と心配されていらっしゃいました。
限定承認について
限定承認とは、被相続人が遺した財産を調査したうえでプラスの財産からマイナスの財産を差し引き、それでもなおプラスの財産が残る場合、その分だけ相続することを認めた制度です。逆に、プラスの財産を上回る負債が存在する場合は相続をしないため、借金を背負うこともありません。
当事務所の対応
当事務所は、「限定承認」という手続きを提案させていただきました。限定承認の制度趣旨をご説明し、奥様にご納得いただけたため、さっそく申立書を作成。その後、裁判は請求棄却されましたが、奥様からは「判決が出るまでの間も、限定承認をしていたおかげで安心して過ごせました」とおっしゃっていただけました。
相談内容
お子さんがいないご夫婦からご相談をいただきました。ご相談は、「自分たちが亡くなったとき、それぞれ(配偶者)に遺産を渡すにはどうしたらいいか?」といった内容でした。
相続させる遺言書について
遺言者が財産を承継させようとする場合、遺言書に「遺贈する」と記載する場合と「相続させる」と記載する場合があります。「遺贈する」遺言は財産を承継させる相手を選びませんが、「相続させる」遺言は、相続人に対してのみすることができます。「相続させる」遺言のメリットとしては、財産が不動産の場合、指定された者が単独で相続登記を申請できることや、登記に必要な登録免許税が安くなることなどが挙げられます。
当事務所の対応
子供がいない場合、民法上の相続人は配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていたらその子供)になるため、配偶者だけに遺産を渡したいのであれば、配偶者に「相続させる遺言書」を書くのが得策です。今回のケースでは遺留分も発生しないため、「相続させる遺言書」の作成を提案させていただきました。その際、遺言者より先に相手方(相続人)が亡くなってしまった場合の第2順位の相続人の決め方や、遺言執行者の選任など、遺言書作成に関するアドバイスを差し上げました。